中古住宅の検討には建物状況調査(インスペクション)が欠かせません!
中古住宅購入時に建物状況調査(インスペクション)は欠かせません。
建物の現在の性能がわからないということが理由です。また、日本において中古住宅が流通しない大きな原因は、既存建物を調査し評価する仕組みがなかったからです。
「中古住宅は購入代金が安くても後ほどリフォームでお金がかかる」といって新築偏重の住宅市場となってもいました。
実は建物を調査し評価する仕組みは最近開発されたものではなく、結構前から実務が運用されています。
耐震診断などはその代表例であり、リニュアル仲介では20年以上も前から耐震診断を実施して参りました。その技術を活かしてリニュアル仲介本部では建物状況調査(インスペクション)を提供しています。
中古住宅購入時には住宅ローン減税が使えないものを使えるようにする手続きや各種補助金の活用提案を行っています。
また、住宅ローンでフラット35を利用する場合、フラット35の適合証明書の発行に関する調査も行っています。
そもそも中古住宅は、経年劣化だけではなく、所有者の使用状況や維持管理によって物件ごとに品質に差があります。
そこで売買の前に、住宅の劣化状況、欠陥の有無、改修すべき箇所やその時期を建物状況調査(インスペクション)で判定します。
国土交通省が2013年6月に「既存住宅インスペクション・ガイドライン」を策定、診断方法や診断項目など一定の基準を設けました。これにより、事業者によって診断結果に差が出ることなく、第三者の適正な診断が得られることになりました。
診断方法は、屋根、外壁、室内、小屋裏、床下などの劣化状態を目視により確認するのが基本です。劣化状態については蟻害、腐食、傾斜、ひび割れ、雨漏り、給排水管の漏れや詰まりなどの有無を診断します。
建物状況調査(インスペクション)を行うことで、建物のコンディションが適正に物件価格に反映され、安心して取引を行なうことができます。ご不明な点等はお気軽にご相談下さい。
中古住宅は、新築時の品質や性能の違い、その後の維持管理や劣化状況によって、
「物件ごとの品質等に差がある」ことから、購入する際に品質などに不安を感じることが多くあり、
その不安を払拭するためには、「売買時点の住宅の状況を把握できる」建物状況調査(インスペクション)が効果的であり、消費者のニーズも高まっています。
政府の『中古住宅・リフォームトータルプラン』においても、インスペクションの普及を掲げています。しかし、インスペクションについては、「現場で検査を行う者の技術力や検査基準等は事業者ごとにさまざまな状況」にあるなどの問題点も指摘され、国土交通省がガイドラインを策定することとなりました。「どの検査事業者が行ったかによらず同様の結果が得られる」ようにして、「建物状況調査(インスペクション)の適正な業務実施」、「トラブルの未然防止」を図るのが目的です。
実際に建物状況調査(インスペクション)は、さまざまな現場で行われています。
新築入居時の内覧会での検査、リフォーム工事の竣工時の検査などでも活用していますが、今回のガイドラインでは、「中古住宅の売買時の検査」に限定しています。
また、中古住宅の売買時の検査としてのインスペクションでも、中古住宅の現況を把握するための基礎的な「現況検査」、劣化の生じている範囲や不具合の生じている原因などを把握するための「詳細なインスペクション」、現況からさらに性能を向上させるために性能を把握する「性能向上インスペクション」の3段階に分かれています。
このガイドラインは一次的なインスペクションである「現況検査」に関するものに限定されています。
したがって、ガイドラインの検査方法としては、目視を中心に、住宅の傾きやひび割れの大きさなどを測る一般的な計測器を用いるまでとしています。
詳細なインスペクションを行うには、「破壊調査」を行うことになる場合が多く、その実施においては住宅所有者の同意を得る必要があることから、対象外とされました。
検査は対象部位ごとに劣化事象の有無を確認するもので、主な劣化事象とは以下の通りです。
※ただし、目視可能な範囲に限定され、容易に移動できない家具などで隠れている部分については、目視できなかったことを報告することとされています。
中古住宅の購入検討者が、建物状況調査(インスペクション)を依頼する際には、住宅所有者の承諾を取り付ける必要があり、該当する住宅の基本資料を入手して提出することになっています。
また、書面により業務委託内容を確認し、検査終了後には、チェックリストや写真などを活用した検査状況を報告書という形式で受け取ることができます。
なお、瑕疵(かし:重大な欠陥)の有無を判定する場合、瑕疵がないことを保証するものではないこと、建築基準法などに適合していることを判定するものではないこと、検査時点以降変化がないことを保証するものではないこと、などの留意点があるとされています。
※既存住宅現況検査における検査項目(一戸建ての場合)(出典:国土交通省「既存住宅インスペクション・ガイドライン」より)
また、ガイドラインの中には、「中立性に関する情報」が盛り込まれています。第三者の検査事業者が検査することもあれば、瑕疵保険の加入を前提に検査する場合、仲介会社が売買促進目的で検査することもあり、中立性を確保するために、以下の点がガイドラインに記載されています。
検査人の情報(資格や実務経験、講習受講歴)を依頼主に提供する場合、検査事業者の情報(免許や検査項目の概要、料金体系等)をホームページなどで公開することなどについても、ガイドラインに盛り込まれています。こうした情報開示がされていけば、住宅購入検討者が建物状況調査(インスペクション)を依頼しようというときに、事業者を選びやすくなっています。
日本は新築供給を主軸にしたフローを重視した住宅政策から、住宅ストックを重視した政策へと転換されて久しくなりますが、中古住宅の流通シェアはなかなか伸びていませんでした。
その大きな要因に「建物の見えないところに不具合や欠陥がないか」という「質に対する消費者の不安」があります。
このネックを打開して中古住宅の流通を活性化させるために、宅建業法が改正されました。その柱は「不動産取引のプロである宅建事業者が、専門家によるインスペクションの活用を促すことにより、売主・買主の双方が安心して取引できる市場環境を整備」することです。
詳細については下記ホームページをご確認ください。
http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000143.html
ちなみに今回の宅建業法改正において、建物状況調査(インスペクション)が売買手続きの主要な3つのステップに組み込まれる形で制度化されます。
まず、媒介契約を結ぶ段階で、必ずインスペクション制度の概要について情報提供し、これまで存在を知らなかったなどの話がなくなり、消費者に建物状況調査(インスペクション)の重要性を理解してもらうきっかけにつながればと考えられています。宅建事業者としては、依頼者の希望に備えてインスペクション事業者を手配できる態勢を整えておく必要があります。
次に重要事項説明では建物状況調査(インスペクション)の結果概要を報告しなければなりません。報告書は建築士が作成しますが、この場面で依頼者から質問が出ることも想定されます。宅建士としても、建物の構造や経年に応じた劣化状態に関する最低限の知識を学んでおく必要がありそうです。
建物状況調査(インスペクション)を実施して劣化事象がない、もしくは補修をして問題がなければ既存住宅売買瑕疵保険に加入する事ができます。依頼者の立場に立って考えると、瑕疵保険の内容や付保した時の税制優遇についても併せて説明が出来るようにしなければなりません。
最後に売買契約の締結時に、構造の安全性や雨漏りの有無について売主と買主がお互いに確認し、その旨を書面にすることになります。ちなみに下記にどのような書類が必要かをまとめてあります。
http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/totikensangyo16_sg_000041.html
【A1】「インスペクション」の意味は「視察・検査」。宅建業法上は「既存住宅の建物状況調査」を指し、構造体力上主要な部分と雨水の侵入を防止する部分が対象となり、物件に対する専門家による調査を意味します。
【A2】単にインスペクション業者の情報を提供するだけではなく、売主(または買主)と業者の間に立って、インスペクションの実施に向けた具体的なやり取りが行われるように手配をするところまでを含みます。
【A3】国土交通省「既存住宅インスペクション・ガイドライン」に基づく現況検査結果報告書の概要と同じ内容の書面を添え、類似用語に注意して説明します。中古住宅売買瑕疵保険へ加入できるかについても触れます。
【A4】建物の建築・維持保存に関するもので、新築時の確認申請図面類、検査済証、耐震基準適合証明書、新築後の調査点検報告書、既存住宅性能評価書など。マンションの場合はそれらの保有者についても説明します。
【A5】建物状況調査(インスペクション)を実施した場合は「調査結果の概要」(資料作成者と年月日)を売買契約書に記載します。実施していない場合は「無」、または写真等を基に客観的に確認した事項を売買契約書に記載することも可能です。
【A6】例えば老朽化した建物の売買で、値引きすることを条件に「現況勇姿取引につき瑕疵担保の免責をする」といった特約は従来通り可能で、宅建業法改正により当事者の合意内容が制限されることはありません。
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